2011年04月18日

Scribusは1.4.0で大進化。これなら(目的によっては)使える

Ubuntuを11.04にアップデートして使い続けているのだけれど、昨日書いたように意外にも特に大きな変化は感じていない。それでも、アプリケーションレベルまでいくと、やっぱり進化はそこここにある。たとえばWineでWindowsのテキストエディタをひらくと、インライン変換こそできないものの、日本語入力に関して以前あった文字数の制限みたいなものはきれいに解消されている。以前はちょっと不安定な感じもしたのだけれど、十分に安定しているし、その気になれば使いものになると思う(テキストエディタの利点のひとつである起動の速さがWineを使う関係でダメなので、実際には使わないけれど)。
そこでいろいろアプリを試してみているのだけれど、たとえばInkscapeでは、10.10のときに出るようになったコピー&ペーストのエラーメッセージが相変わらず出続けて使いづらい。LibreOfficeの方もやっぱりうまくいっていないのは昨日書いたとおり。
そんななかで、これはどうかなと思って起動してみたScribus、最新版であるNGの方が1.4.0 rc2と、以前よりバージョンアップしている。期待して使ってみた。
レイアウトソフトであるScribusは、既に英語圏では実用の域に達している。けれどこれが日本語圏でほとんど実用に用いられていないのは、日本語周りの開発がほとんどできていないため。具体的にはぶら下げや追い出し、追い込みなどの禁則処理やルビ付けができないこと、縦書きができないことだけれど、それ以上に日本語入力がScribus上でほぼ不可能だったことがあった。「ほぼ不可能」のレベルは過去のバージョンアップとともにどんどん改善されてはいて、たとえば私が試し始めた頃には日本語入力メソッドを起動するためだけに追加パッケージをインストールしなければいけなかったし、日本語を入力するとたいていは異常終了した。それがいつの間にかデフォルトで日本語入力メソッドは起動するようにはなったのだけれど、それが可能なのはテキスト編集画面でのみ。レイアウト画面では無理だった。そして、異常終了は解決しなかった。それが異常終了問題も発生しなくなって、それで数カ月前には初めてScribusで16ページの小冊子を組むことができた。横書きで、禁則に関しては手動で調整しなければならなかったけれど、曲がりなりにも日本語の組版が(あまり美しいとはいえなかったけれど)、Scribusで可能になったわけだ。
けれど、そのときでもテキストの編集には苦労した。基本的にテキストエディタで書き起こした原稿をScribusでレイアウトしただけなのだけれど、レイアウト中にタイプミスやら変換ミスの修正、さらには文章の推敲などが必要になるのは編集の常だ。これを、いちいちテキスト編集画面に戻ってやらなければいけない。これはけっこう負担になった。回避策として別途テキストエディタを立ち上げておいてそこで修正文字を入力し、コピー&ペーストでレイアウト画面を離れずに修正するみたいなこともやったけれど、まるで写植の修正のようでレイアウトソフトを使っている利点がまるで感じられなかった。
ところが、今回のバージョンで、いよいよレイアウト画面上での日本語テキスト入力が可能になった。まだインライン変換には対応していないのでちょっと歯痒い感じは残るけれど、WYSWYGでテキストを修正していけるのは非常に気持ちがいい。

テキスト以外に関しては英語圏で評価が定まっているぐらいのソフトだから、全く問題はないだろう。ということで、この先、禁則を手動で処理できる程度の仕事、カーニングにあまり美しさを求められず、縦書きやらルビやらが不要というかなり限定された仕事になるけれど、そういった場合には十分にScribusを使っていけることがはっきりした。
どうも日本からの開発者がいないようで日本語周りの開発が進まないScribusだけれど、ここまできたことで一気に日本語周りの開発が進めば嬉しいなと思っている。そのためにも、ユーザーとしてどんどん使っていくべきだろうと思う。知り合いの印刷屋さんにも推薦してみようかな。軽印刷なんかには用途もあると思うし。
posted by 松本 at 11:37| Comment(6) | Ubuntuのアプリケーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。ScribusをWindows 7マシンに導入して間もない者です。

この記事を拝読してこのソフトの本格的な利用はひとまず諦めました。

私が導入したのはバージョン1.3台ですが、きっちりレイアウトしたファイルを読み込み直すとテキスト表示ボックスがずれてしまうという有様です。日本語入力時の異常終了も体験しました。

率直な記事に感謝します。
Posted by 豹悟郎 at 2011年06月09日 16:37
豹悟郎さん、コメントありがとうございます。Windows版に関してはあるいはちがっているかもしれませんが、1.4系列は相当改善されていますよ。といっても、記事にあるとおりで、日本語まわりは相当我慢を強いられますが。

テキストボックスのズレの問題は、私のところでも発生します。ただし、これは見かけだけの問題で、実際にテキストボックスの中身に一度でも入ってやるときちんと復旧します。まあ、これも環境によるかもしれません。

オープンソースに限らないと思いますが、やっぱりソフトはユーザーがいてこそ進化すると思います。豹悟郎さんも辛抱強くScribusにつきあっていただけたらと思います。ほんと、貴重なソフトですから。
Posted by 松本 at 2011年06月09日 20:00
松本さん、丁寧なお返事ありがとうございます。

テキストボックスのズレについての情報はありがたいです。ずれている状態を見てまたボックスを調整しなくてはいけないのかとうんざりし、そこで投げ出していました。

今これからバージョン1.4をダウンロードするところです。

昨日の時点ではScribusを諦めてOpenOffice.org Drawを使おうと思ったのですが、Drawではスライド毎に違ったテンプレートを適用する方法が見当たらないので立ち往生してしまいました。

今は松本さんのおっしゃるように根気強くつきあって、一つまとまった制作体験をしようという気持ちになっています。
Posted by 豹悟郎 at 2011年06月10日 06:33
豹悟郎さん、ご参考になれば幸いです。

OpenOfficeのDrawですが、レイアウトソフトとして使えるという話はよく聞くのですが、私は実際に使ったことはありません。いちど試してみたいとは思っています。

「テンプレート」ですが、マスターページを使うのはどうでしょうか。メニューバーの「表示」の「マスター」からマスターページを作成し、通常のページ編集画面の右クリック「ページ」の「ページスタイル」からマスターページを選択できます。いかがでしょうか。
Posted by 松本 at 2011年06月10日 07:49
松本さん、教わってばかりで恐縮です。

Scribus 1.4をWindows 7にインストールしました。テキストボックスの「表示上の」ずれを確認できました。プロパティー自体は無事です。

Drawのページスタイルの適用はやってみました。試したのは4ページだけですが別々のテンプレートを適用できました。ただ、この状態だとテキストボックスの中身を編集するには表示をマスターモードにする必要があります。標準モードだとテキストボックスをクリックしても輪郭線が現れず編集できません。標準モードでスライドを挿入しページスタイルを適用し、マスターモードに切り替えて編集するという手順になります。
Posted by 豹悟郎 at 2011年06月10日 14:06
そうなんですよね。テキストボックスをマスターページに配置する意味があんまりない感じで、だからここは「どうしたもんかなあ」と超えられずにいます。ということで、ページものの場合はWriterの方を使うのですけれど、こっちはこっちでいろいろやりにくいところがありますね。

ということで、Scribusに期待するところが大きいわけです。
Posted by 松本 at 2011年06月10日 15:20
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