2010年05月26日

OpenOfficeとInkscapeとScribusと… 大騒ぎして印刷入稿

私はもともと編集屋であって、DTPの時代を現場の隅っこで過ごしてきた。だから端物の印刷データ作成なんてお手のもののはずなのだが、今回は久しぶりにそこで苦労したというお話。要は長いことやっていないから勘所を忘れていて恥ずかしいミスを繰り返したというだけなのだけれど。
まず、チラシを数十枚作成する必要があって、簡単なものなのでOpenOfficeのDrawでつくってしまおうと考えたのが発端。プリンタでの出力なら作るのは簡単な方がいいし、Drawなら複数ページを扱えるから、表裏両面のデータをまとめてつくってPDFに出力すればあっという間。ということで、この部分は何の問題もなく進行した。
問題が発生したのは、そもそもデザインがまずかったからだ。三折り仕上げのリーフレットなのだが、内側を白地、表側をグラデーションをつけたダークカラーという、いかにもありふれたものにしたのがいけなかった。濃い青地に白抜き文字は確かに映えるのだけれど、インクジェット・プリンタではインクが減ってたまらない。これではコスト的にちょっとなあという感じ。おまけに、時間はかかるし、仕上がりもいまひとつよろしくない。
ならば、オンデマンド印刷を使ったほうがいい。コスト的には数十部程度だと安くはならないけれど(たぶんプリンタなら1枚40円くらい、印刷だと50部の最安でその倍くらい)、手間やクォリティのことを考えたら発注するメリットは十分にある。
ということで、印刷入稿クォリティのデータを作らねばならないことになった。

オンデマンド印刷というのは、要はプリンタのお化けだと思えばいい。だから、オフセット入稿ほどにはデータに気を使うことはない。とはいえ、wordファイルのような形式では思ったような仕上がりは望めないので、最低でもフォントを埋め込んだPDFぐらいはつくらねばならない。あまり複雑なことをしていなければ、たぶんOpenOfficeから出力したPDFでもOKだろう。
ところが、面倒なことに、オモテ面は色ベタの地を使っている。これをこのままPDFで送ったら、断ち落とし線に沿って白地が出てしまう可能性がある。通常こういう縁にかかったレイアウトでは、用紙サイズの3ミリ外側まで色や図版を伸ばしておく必要がある。さらに、それでは位置が決めにくいので、断ちトンボとよばれるガイドラインをつけておくことになる。いきなり話がややこしくなる。さらに、クォリティを高めようと思ったら(特に一般的ではないLinux環境で作成しているデータだということを思えば)、フォントは全てアウトラインをとっておいたほうがいい。つまり、フォントデータとしてではなく、図形(ベクター図形)データとして入れてやれば、文字化けや書体の崩れの心配がないわけだ。
そういうややこしいことは、さすがにOpenOfficeでは処理できない。これをやろうと思ったら、出てくるのは当然Inkscapeだ。
最初からInkscapeで原稿をつくっていれば、ここで手間はひとつ省けたはず。しかし、最初はプリンタ出力でと思っていたのだから、仕方ない。OpenOfficeで作成したデータをPDFで出力し、これを1ページ単位でInkscapeで読み込む。この際、グラデーションのところが黒ベタになったり、フォントが一部変わってしまったりというエラーが出る。それを防ぐためには、結局は、「PDFとしてエクスポート」から「PDF/A-1a」というオプションにチェックを入れるのがいちばんだという結論に達した。そこに達するまでにいろいろロスタイムがあったが、まあそれは言わないでおこう。PDF/Aは、印刷で推奨されているPDF/Xの仕様とは違っているのだけれど、どちらもフォントの埋込みなど「電子文書の見かけを、作成・蓄積・可視化ツールから独立に」することを目的としているらしい。だから、OpenOffice→Inkscapeとデータを移動しても、文字や図版のトラブルがないということになるのだろう。
さて、Inkscapeでトンボをつけるわけだが、「えっと、方法は…」と検索したら、プラグインをインストールする方法が出ていた。そこで、その通りにやってみたのだけれどなぜかできない。いろいろやっていたら、なあんだ、いまはデフォルトで可能になっている(だから私が知っていたわけだ)。「エクステンション」→「レンダリング」→「プリントマーク」とたどって、必要なところにチェックマークや寸法を入れて、実行するだけ。実に簡単。
これでPDFに出せばOKのはず(ページ寸法は仕上がりよりも大きくしておかないとせっかくのトンボが隠れてしまうが)。なのだけれど、ここでちょっと気になる情報を見てしまった。昔から頭の痛いRGBとCMYKの問題。色の再現性が、RGB環境でつくったままだとよろしくないというわけだ。デザイナー御用達のAdobeのIllustratorなら、ここはちょちょいとCMYKに変換すれば済む話。ところが、Inkscapeにはそんな機能はないのだそうだ。(本当かどうかはわからないネットの書き込みによる。最近実装されたとか、そういう情報があれば教えて欲しいけれど)。まあ、勝手に印刷所で変換してくれるから、よっぽどうるさいことを言わなければ放っておいてもいいのだけれど、気になりだすときになるもので。そして、情報によれば、ScribusでCMYKへの変換ができる。じゃあ、やってみようということになった。
Scribusは、日本語の扱いがよくないのでまずは使わないのだけれど、それでも必ずインストールはする。はやくつかえるようになってほしいと期待しているからだ。そして、日本語の絡まないところなら、まずはOKなのはわかっている。だったら、図形としてデータを処理する分には大丈夫だろう。
まず、Inkscapeのデータでフォントのアウトラインをとる。PDF書き出しの時は、書き出しをするときにフォントをアウトラインデータにするオプションがあるが、PDFではなくSVGを経由するため。そして、データをSVG形式で保存し、Scribusを立ち上げて新規文書を(トンボを入れるため大きめのサイズで)作成する。この文書に、「ファイル」→「インポート」→「ベクトルファイルを取得」と進んでSVGファイルを読み込む。この際、なぜか元のサイズよりも何割増かの大きなサイズの画像が読み込まれることになるが、気にしてはいけないらしい。バグなのだろうか。この大きなサイズを、プロパティから手動で正しいサイズに縮小し、位置を合わせる。
さて、CMYKへの修正だが、これは、「編集」から「色」を選択する。すると、使用しているからプロファイルの一覧が出てくるが、よく見るとアイコンで三色(RGB)と四色(CMYK)がわかるように表示されている。このなかから三色のアイコンのものを選択し、編集を押して、「カラーモデル」のプルダウンをCMYKに変更する。すると、RGBでの指定にできるだけ近似のCMYKの色が表示されることになる。OKならOK、「もうちょっとマゼンタが欲しいなあ」みたいな修正があればここで手動で直していくことになる。そして、全てのアイコンが四色に変わったら、OKということになる。
あとは、ここからPDFに出力してやれば、長旅は終わる。なお、Scribusにもトンボ作成機能はある(PDF出力時に指定できる)のだけれど、このトンボは、どうやら日本仕様ではないようで、ちょっと使えそうになかった。だからInkscapeのものを使った。
こんな複雑なことをしないでも、もっといい方法があるような気がする。けれど、たとえばOpenOfficeから出力したSVGやpsファイルはなぜかScribusでは大崩れしてしまう。最初からScribusでデータを作ろうと思ったら、日本語の入力に難がある。結局は、どこかの段階で、Inkscape→Scribusという処理を行わねばうまくいかないようだ。
さて、これだけ苦労した印刷データ、印刷屋からクレームがついたり出力してきたものが予想通りに仕上がらなかったりしたら、笑うしかないだろうな。どうなることか。納品が怖いような、楽しみなような。
posted by 松本 at 16:29| Comment(0) | Ubuntuのアプリケーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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