2008年06月07日

幻のマスターテープ

Audacityで片っ端からカセットのMP3化をやっていたら、リズムセクションだけが入ったテープが出てきた。最初は思い出せなかったのだが、やがてはっきり思い出した。4トラックのMTRで録音した古いマスターテープだ。リズムマシンにベースをかぶせたトラックがこの2本。ということは裏面の2つのトラックにはボーカルとギターが入っているだろう。案の定、聞くに耐えない奇妙な音声が入っている。もちろんこれはテープ逆回転のせいで、私の歌が下手くそなせいではない(下手くそなせいでもあるが)。このMTRは、カセットの4本のトラックに全て同じ方向で録音することで4トラックの録音ができるような仕組みになっていた。だから通常の裏面は逆回転になるわけだ。

数年前このMTRを処分したときには、「もうこれで若い頃に録音したマスターテープは聞けなくなるなあ」とちょっと残念に思った。けれど、どうせ下手くそな素人が遊びで作った曲だし、残しておいてどうなるものでもない。下らない過去はさっぱり捨てようと、それはそれでちょっと気持ちが晴々したものだった。
けれど、その捨てたはずのマスターテープ、こうやって聞いてみると、保存しておきたくなる。そこで、裏面は裏面でAudacityで録音し、フィルターを使ってこれを逆転させてやった。操作そのものは増幅やノイズ除去よりも早いぐらいだが、なんとこれでちゃんと逆回転の音声がちゃんとした音に戻った。こうなってみると聞くに耐えない原因はやっぱり下手くそなせいだということがよくわかるが、まあそれはそれ、一応曲にはなっている。
あとはこれを表のトラックに合体すれば済む話。ところが、実はこれがうまくいかなかった。
曲の頭を揃えることはそれほど難しくない。クリックノイズもあるし、よく聞くとリズムセクションの音が(多分モニタ用のヘッドホン越しに)少し入っている場合もある。Audacityでは微妙な位置調整もできるから「よし、ぴったり」というところまで仕上げるのは簡単なこと。ところが、これで走らせてみると、今渡こそ本当に聞くに耐えない演奏になる。「こんなに下手だったかなあ」と我が耳を疑うが、ところによっては1音符分以上も歌い出しが遅れている。ギターもてんでバラバラ。
よくよくトラック間の波形を眺めてみると、なんとまあ、曲の開始から終了までの長さが違っている。つまり、どうやらカセットテープの表面と裏面で、再生速度が微妙に狂っているらしいのだ。だから、出だしで合わせても曲の途中で合わなくなってくるのは当然といえば当然。いや、確かにカセットテープなんていい加減なものだとは思っていたけれど、ここまで狂ってしまうとは知らなかった。
1時間ほど、ああでもないこうでもないと苦しんで、結局諦めた。幻のマスターテープはやっぱり幻でいい。若い頃の思い出なんて、そんなふうに放っておいた方が輝きが増すのだろうから。
posted by 松本 at 21:46| Comment(0) | Ubuntuでの失敗・トラブル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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